FC2ブログ

【追悼】 三善 晃氏

作曲家の三善晃さんが10月4日に亡くなられた。
先月、諸井誠さんを悼んだばかりなのに、
また偉大な作曲家を見送ることになってしまった。

Akira Miyoshi-2

上の写真は、1972年2月、阿佐ヶ谷のご自宅を訪ねて撮影した1枚で、
当時の彼の様子を非常によく表しているように思う。
取材をする私に対して、もの静かに、詩のような言葉で応えてくれる三善さん。
二人の間に流れる空気があまりに繊細で、
私が発するシャッター音が、
彼の言葉を断ち切ってしまうのではないかと思えたほどである。

Akira Miyoshi-1
<1972年 阿佐ヶ谷ご自宅にて>

その知的な感性は、多くの音楽家と出会ってきたが、独特のものであった。
彼との思い出の中で、忘れられない一言がある。
1977年の夏、軽井沢の山荘に、谷川俊太郎さんたちと伺った折、
散歩をしながら、石垣を這うナメクジを指して
「私の前世は、これですよ」とほほ笑みながら仰ったのだ。
ナメクジ?
なぜそのように仰ったのか、もう直接確かめるすべがないが、
ご自身の死生観が投影されている作品を聴けば、その答えがわかるだろうか。

Akira Miyoshi-4
<1977年 桐朋学園大学にて>

三善さんは1996年~04年の間、東京文化会館の館長を務められた。
在任中、開館のリニューアル工事に着手され、
「木之下さん、撮影する場所を作りましょう」
「劇場に詳しい、あなたの意見を聞かせて」と声をかけてくださり、
いくつかのアイディアを採用いただいた。
現在、会館が刊行している冊子『音脈』での私の連載も、
三善さんの発案から始まったものだ。

三善晃さん。
あなたは音楽を写真で記録することを生業とする私の、
大変素晴らしい理解者でありました。
長い間病床につかれていたので、晩年はお会いすることもままならず、
今は、ただただ、感謝の気持ちで、ご冥福をお祈りするばかりです。

Akira Miyoshi-3
<1975年 並び称されることが多かった武満徹氏との貴重な1枚>


木之下 晃





スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

木之下晃

Author:木之下晃
音楽写真家木之下晃のブログです。
展覧会や出版のお知らせ、
撮影エピソードなどを紹介していきます。

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR